ソウル特別市都市鉄道公社(現ソウル交通公社)7000系電車(ソウルとくべつしとしてつどうこうしゃ7000けいでんしゃ)は、1996年10月11日に営業運転を開始したソウル交通公社7号線の通勤形電車。
概要
1次車・2次車はソウル特別市都市鉄道公社5000系、6000系のデザインをほぼ踏襲している。7000系は4M4Tの8両であり同時期に製造された8000系とは両数以外同じである。2000年、2012年、2020年の路線延長の際に2次車、SR車、3次車を増備、2022年には1次車の置き換え車両のために5次車が登場しており、今後は青羅国際都市駅・京畿道古邑方面の延伸に伴う新型車両も登場予定であり今後車両数は非常に増える。
1次車(1次分)
長岩駅~建大入口駅開業に伴い1995年 - 1996年に大宇重工業で製造し701 - 717編成が導入された。当時別会社であったソウル特別市地下鉄公社の4000系と同じ電装品のGECアルストム製のGTO-VVVFインバーター(32RA025B2型)と主電動機(GEC G354AZ型)を搭載しているが、歯車比は14:99に設定された。補助電源装置は東芝製。
側窓は2枚窓になっていて上部が開閉する内倒れ式となっている。
2012年の富平区庁駅延伸時に、前面の行先表示LEDのフォントがクリアなものに変更された。
1次車は2023年末までにすべて4次車に置き換えられる予定であったが、2024年11月現在残っている705/709編成については、現在ラッシュ時のみ運行可能となっている。もともと増備車が登場するまで延長運行をされる予定であったが、計画が白紙となり予備編成に割り当てられている。
2次車(2次分)
建大入口駅~温水駅開業に伴い1999年 - 2000年に韓進重工業で製造し718 - 762編成が導入された。1次車を基本としつつ,側構体には従来の骨組み工法に代わりに川崎重工業が開発した2シート工法が採用され,主回路には日本の東芝製の2レベル3相電圧型PWM制御によるIGBT-VVVFインバーター(SVF035-A0型)と主電動機(3H3V2195型)が搭載されている。当時、東芝製の2レベルIGBT素子VVVFインバーターを採用するのは、札幌市営地下鉄8000形(SVF034-A0型)に続き世界で二例目であった。また、車両情報システムも東芝製の「TCMS」を搭載。補助電源装置は宇進産電製。
外観の変更点は外板ビートが省略され、前面では行先表示LEDの大型化と窓枠が黒塗装された。側窓は1枚窓となり開閉は出来ない。
2010年に混雑緩和に伴う増備のため、8000系の821編成6両と822編成2両を組み合わせた7000系763編成が加わった。
2012年の富平区庁駅延伸時に、前面の行先表示LEDのフォントがクリアなものに変更された。
2次車はVVVFインバーターのソフトウェアが変更されることがあり、2022年11月に760編成が変更されJR東日本209系910番台に酷似する音となったが、元のソフトウェアに戻されている。
3次分
SR000系を参照。
3次車(4次分)
富平区庁駅~石南駅開業に伴い771・772編成の2編成が2021年7月までに試運転を開始したが、後に登場する4次車より1か月ほど遅い2022年5月20日に運行開始した。SR000系をベースとしており、車内も似通っているが、車体ラインカラーの配置変更、乗降用ドアの窓の高さの変更、ドアエンジン変更、前面非常扉の廃止、乗降用ドアの模様変更、乗降用ドア車内側の左右にドア開閉灯の搭載など各所においての相違点がみられる、なお、つり革は従来の灰色から7号線のラインカラーのオリーブ色となった。電装品は2000系3次車や3000系2次車などに準じた物にされた。3次車はSR000系同様、車両は富川市、仁川交通公社が所有しており、管理はソウル交通公社に委託管理されている。車両番号はSR000系の770編成の続き番号である。
ソウル交通公社発足後7号線に初めて導入された車両で、旧ソウル都市鉄道の出発前サイン音が鳴らなくなった。
本車両は、2000系3次車や3000系2次車をはじめとする他路線のタウォンシス製の車両に比べて様々な面でコスト削減を図っているが、極度なコスト削減ゆえにトラブルや故障が頻発しており実際に営業運行を開始したのは4次車が導入された後で、落成から2年が経過している。また、放送装置の故障、信号装置などの動作反応が遅く、他の車両と比較して遅延するリスクが高い。また、SR車も含めたタウォンシス製の車両の納期遅延やこの3次車の車両品質が低いことなどが問題視されている。
4次車(5次分)
製造から約30年が経過し老朽化した1次車の置き換え用のため、2021年8月11日にW701編成が宇進産電を出場し、2022年4月18日に1編成が運行開始し、2023年10月27日までに全編成が運行を開始。主電動機は釜山都市鉄道1号線で採用された東芝製の全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)を採用し、従来のかご形三相誘導電動機よりも大幅な消費電力削減を達成している。ソウル首都圏でのPMSMの採用は、初となる。なお、車両は5000系4次車と共通設計仕様で導入されている。車両デザインは、ベルリン地下鉄IK形やソウル交通公社2000系4次車、GTX-A用車両などをデザインしたドイツのbüro staubachという会社がデザインを手がけた。
ドア上に大型液晶ディスプレイが千鳥配置で2画面搭載されている。また、車両妻上部にカラー式LED案内表示器も搭載されている。座席は車端部3人掛け、扉間6人掛けのプラスチックシートとした。4次車はドアが閉まる際に、1~4号線に搭載されているベルが鳴るようになった。
編成番号は、1次車との区別をつけるために現在は頭にWが付く。Wは宇進産電を英語表記にしたときの頭文字「W」から。
古邑延伸用車
長岩駅から先の道峰山抱川線、古邑駅方面の延伸用車両として773編成 - 777編成が導入予定。製造会社はタウォンシス。車両は、京畿道が保有予定。
青羅国際都市延伸用車
石南駅から先の仁川広域市、青羅国際都市延伸用車両として778編成 - 785編成が導入予定。製造会社はタウォンシスとなっているが、車体形状は4次車に準じた物となっており、電装品もPMSMを採用するとされる。車両は、仁川交通公社が保有予定。
6000系の代替用車両
2017年から増備のため7号線に転属した6000系代替のため、2025年以降に786/787編成が導入予定。製造会社はタウォンシス。富平区庁延伸後、仁川広域市と富平市の需要急増に伴い増発を計画していたが、車両導入に時間を要することから6000系を7号線に転属したうえで増発をしていた。なお、導入に伴い6000系は再び6号線に返却される。車両は、仁川広域市と富川市が一定の割合で保有予定。
編成表
ソウル交通公社の編成番号は、4桁の車号のうち号車を意味する百の位を除く3桁で表現する。(例:1号車が7101である編成=701編成)残っている1次車の3編成については2023年末までに引退が予定されていたが、2024年まで延長運行することが決定した。
配属
- 701~734編成 - 道峰車両事業所
- 735~763・771・772編成 - 天旺車両事業所
特記事項
内装の不燃化改造
2003年の大邱地下鉄放火事件を契機に強化された鉄道車両の難燃基準に沿って、2005年までに内装材改造を完了した。この事業には1次車を興一企業・2次車をロテム(現・現代ロテム)が担当した。座席はステンレスに変更され、火災警報器と客室非常用インターホンを設置した。
放火事件
2005年1月3日午前7時13分頃、加里峰(現・加山デジタル団地)駅を発車し鉄山駅に向かっていた7017列車(752編成)の後2両目で、加里峰駅から乗車した48歳の男が新聞紙に引火性の液体を撒き火をつけ鉄山駅で逃走した。火は座席に燃え移り乗客が隣の車両に避難し火災警報を鳴らし運転士と司令室に知らせた。その中の一部乗客は消火を試みた。7時16分頃司令室からの連絡により光明駅(現・光明サゴリ駅)の駅員3人が駆けつけ乗客全員を下車させた後に消火活動に当たった。駅からの連絡により司令室は鎮火したものと判断してこの電車を終点の温水駅まで回送運行の指示を出すと同時に、反対行き電車の運転見合わせ指示も解除した。しかし車両後尾部分ではまだ火の手が燃え続けていて、温水駅にて消防隊の出動により8時54分頃に完全に鎮火した。
これにより752編成のうち3両が全焼し、10時45分まで7号線全線運転見合わせとなった。人命被害は無かったものの、運転士・駅・司令の判断ミス・連絡体制が取れていなかった事と不燃化対策が完了していなかった事が指摘された。犯人は翌4日午後8時頃に水原駅にて任意同行を求められ、後に逮捕された。752編成の被災した3両は、同一仕様の8000系822編成から3両を組み込む形で置き換えている。
形式扱い
SR000系とは別形式であるが、現地ではSR000系が7号線3次分車両という扱いになっているため、SR000系以降の車両である3次車は4次分、4次車は、5次分という扱いになる。
画像
脚注
関連項目
- 韓国の地下鉄
- 首都圏電鉄
- ソウル交通公社
- ソウル特別市都市鉄道公社
- ソウル交通公社7号線



