長良川鉄道ながら3形客車(ながらがわてつどうながら3がたきゃくしゃ)は日本国有鉄道(国鉄)ヨ8000形から2両が改造され、1992年(平成4年)から2003年(平成15年)まで使用された長良川鉄道のトロッコ列車用の客車である。本項ではながら3形と編成を組んで使用された国鉄ヨ6000形改造の長良川鉄道ながら5形客車(ながらがわてつどうながら5がたきゃくしゃ)、国鉄トキ25000形改造の長良川鉄道ながら7形客車(ながらがわてつどうながら7がたきゃくしゃ)についても記載する。
概要
国鉄越美南線では、国鉄末期にトロッコ列車が運転されていたが、1986年(昭和61年)12月に第三セクター鉄道である長良川鉄道に転換されて以降は運転が休止されていた。長良川沿いの風光明媚な路線を観光資源として活用するため、国鉄ヨ6000形、ヨ8000形、トキ25000形を購入して改造した5両編成の遊覧式トロッコ列車が導入され、保線用車両を改造したNTB-209形機関車に牽引される形で1992年(平成4年)から運転を開始した。好調な乗車率で運転されていたが、2003年(平成15年)7月21日に脱線事故を起こして運転が休止され、再開されないまま2005年(平成17年)に5両全車が廃車された。
改造内容
車掌車を改造したながら3形、ながら5形は室内に座席をそれぞれ11脚、16脚設置、デッキ部にはシリンダで開閉するドアが設置された。ドアが開いている際に点灯する赤色の車側灯も設けられた。無蓋貨車を改造したながら7形には52脚の座席と屋根が設けられたが、窓などは設けられず、オープン構造となった。妻部には各車間をつなぐ通路が設置された。全車白く塗装され、ピンク、緑、青の帯がまかれた。
運用
1992年(平成4年)4月28日からモーターカーを改造したNTB-209形に牽引される 3001(とみか) - 5001(しろとり) - 7001(トロッコ車) - 5002(みのし) - 3002(はちまん)の編成で長良川鉄道越美南線美濃市駅 – 北濃駅間で運転を開始した。NTB-209形は北濃駅では転車台で、美濃市駅では自車に設けられた転向装置で転向した。2003年(平成15年)7月21日に牽引機が脱線事故を起こし、以降運休となった。枕木が劣化していたため犬釘を保持する力が弱まり、当時の長良川鉄道で転向横圧が最大だったNTB-209形が通過した際に横圧を支えきれず、軌間が広がったことが原因とされる。脱線後、NTB-209形の転向装置を活用して復線、安全な場所まで移動している。事故後、トロッコ列車の運転は再開されないまま2004年度にながら3形・5形・7形は全車休車となり、2005年(平成17年)に5両全車が廃車された。
出典
参考文献
雑誌記事
- 『鉄道ピクトリアル』通巻582号「新車年鑑1993年版」(1993年10月・電気車研究会)
- 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 96-110
- 長良川鉄道(株) 宮地一二三「長良川鉄道 NTB-209形、ながら3・5・7形(トロッコ列車用)」 pp. 134-135
- 「車両諸元表」 pp. 184-186
- 「1992年度車両動向」 pp. 187-209
- 『鉄道ピクトリアル』通巻678号「特集 譲渡車両」(1999年12月・電気車研究会)
- 鉄道ピクトリアル編集部「現有旅客用譲渡車両一覧」 pp. 62-68
- 『鉄道ピクトリアル』通巻767号「鉄道車両年鑑2005年版」(2005年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2004年度民鉄車両動向」 pp. 116-141
- 『鉄道ピクトリアル』通巻767号「鉄道車両年鑑2006年版」(2006年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2005年度民鉄車両動向」 pp. 118-140
- 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 205-220
Web資料
- “鉄道事故調査報告書 長良川鉄道株式会社 越美南線福野駅-美並苅安駅間 列車脱線事故” (pdf). 航空・鉄道事故調査委員会 (2004年6月25日). 2017年9月10日閲覧。
- “台車近影 TR213/樽見鉄道うすずみ1形”. 鉄道ホビダス (2006年2月3日). 2017年7月11日閲覧。

![長良川鉄道ナガラ3形画像サムネイル120 [AGUI NET]](http://www.agui.net/tasya/nag/nag300-1g-fs107.jpg)


